まぼろしと遊ぶ

友川かずき 1994-02-25

专辑简介

ミュージシャン: ベース:吉沢元治 パーカッション:石塚俊明 ピアノ:永畑雅人 チェロ:白井由美子 プロデューサー:生悦住英夫 エンジニア:村岡浩樹/上月洋也 ジャケット絵:友川かずき 録音場所:スタジオ「J」 友川かずきは普段あまり音楽を聴かない。他の音楽家を褒めることもきわめて稀だ。そんな彼が絶賛するのを耳にして「おや、珍しい。」と思ったのがフリー・ジャズのベーシスト、吉沢元治で、本作は彼との即興演奏が目玉となっている。一線の向こう側に引きずりこまれてしまいそうな「まぼろしと遊ぶ」、ギャンブラーならではの「パチスロ化けの皮音頭」などでそれは聴ける。 2人のライブでのこと。 吉沢元治のベースの音は、まるでそれ自体が生命を宿しているかのようだ。そのベースの音がとぐろを巻くように即興詩人のギター・ストロークにからみ始めた。目をつむった彼は「…おお…来たな、速い、速いな…メジロ・パーマーだ!…」とつぶやいた。「スピード」が問題だ。とはいえ、テンポの速さではない。友川かずきが吉沢元治と即興演奏に挑むとき、時計によって確認できる時間でもなく、だれの歴史でもない全く新しい「時のようなもの」が空間を支配し始めるのがおもしろい。自分自身がスローモーションの映像の中にいて、その映像の中から別の映像を覗き見ているような感覚なのだ。その、今自分が見ているところの映像がめまぐるしく変化して、日常的な生活感覚が狂ってしまいそうになる。詩人は何事かを叫んでいる。「言葉」や「うた」以前の「気のようなもの」を感じる。その矢先、彼は「おじっちゃ!」と叫んで卒倒し、椅子から崩れ落ちた。 歌詞の意味を理解することがほとんど不可能だったその曲は、本作で「ヤマウタ」と命名されていた。