裏庭のくじらは
まだ眠たそうに行ったり来たり
もうそろそろ出かけなきゃなんて
ちょっと退屈しちゃうな
不機嫌なオルガン
部屋の片隅で低く歌う
ゆらり揺れる畳の目に沿って
今日も夢を渡るの
まだ誰も知らない午後
冒険はずっと続くけど
きっとこの夏もガラス越し
冷たくて遠いの
押入れの森には
知らない星がたくさん浮かぶの
ぐるぐる続くきのう今日あしたに
そっとさよならして
まだ誰も知らない午後
水色のほころび見つけて
指の先から飛び込んだら
何か変わるかしら
まだ誰も知らない午後
もし世界がひとつづきでも
船の汽笛も南風も
ここには届かない