Cosmos - 市来光弘 (いちき みつひろ)
街を包んでいた
星の地図が
音を立てず
1つ1つ白く溶けていく
誰も知らない新しい朝へ
枝で休んでいた鳥たちが
頭をあげ
1羽1羽歌をさえずる
誰かが待っていた
始まりを告げる鈴のように
目覚める街行き交う人
変わらぬ日々の綻びから
僕を呼ぶ声が闻こえたんだ
あの日から
君は僕の名前を
何度言ったかな
数えたことはないけれど
呆れる僕を追いかける君
小さな恋の音がした
森を歩いていた
僕の後ろ珍しげに
1歩1歩土の上を進む
誰もが知らない
秘密の場所への通り道で
遠ざかっては近づいて
ふたりの距離は
時計の針のようだねと
僕の手を握った
君の微笑みに
つられて笑う
ただそれだけで
世界は輝いて見えた
そんな日々がきっと
永遠に続くと思っていた
自由な空を眺めるだけの僕は
気づかないふりをしていたんだ
知っていたよわかっていたよ
魔法が解ける日がくること
夢を紡いだ糸は途切れて
丹色の街に
終わりの鐘が鳴り響く
君は知っているのかな
あの花の言葉は
僕と君は空に浮かぶ星
交わることなく
いつか流れ消えるものでも
同じ時の中で
確かに生きていたんだ
僕らの軌跡に
コスモスは咲く