正体不明 - 白トカゲ
山の端が赤く染まれば始まる
暗幕が垂れこめる漆黒の世界
街の呼ぶ声に耳をふさいだら
鼓動さえ消え行き
このまま遠くまで
ゆらゆらとまどろむ夢の風に
意識をとばし
曖昧な色に身を委ねたら
視界が霞む
今宵こそはと闇を走る
そんな姿に焦がれたのは
いつからだろう
風を従え高く輝く
夜の王だとただただ傅く
放浪者たちの唄を詰め込んだ
この花が咲いたら
それを飾りつけよう
彼女の見る世界は
落ち花で溢れていて
そこではきっと黄色い鳥たちが
飛んで行くのだろう
嗚呼幻想に染まれ月よ
夢にまでみたあの世界は
そこだろうか
常世の宴更にいざよえ
緋色の瞳月夜に嗤って