レントの画廊 - Calvaria
奇跡を生み出す指
神に愛されし画家
彼が描く景色は
音無き世界の断片
意思を持って画布を巡る
白黒の鳥や木々が
優しい歌に誘われ
静かな眠りに就く頃
生命に色を乗せてゆく
鮮やかに彩るまで
おやすみ
移ろう季節を渡り
色付く心の奥
閲ぐ切望に軋む
迷いが違えた未来
紡いだ歌に隠された
涙が真実を暈して
言葉は宙へ溶けてゆく
虚ろに燻る熱だけ遺して
孤独に凍える夜を数え
温もりを辿るように
過去に縋り
画廊で今日もひとり
愛しい姿を求めて
笑顔の記憶を紐解く
想い出溢れる肖像
懐かしい微笑みに抱かれ
幸福な幻想の中へオヤスミ
奇跡を生み続けた
神に選ばれし画家
彼が愛した人は
音無き世界で歌う