大した話題もない
君を誘う理由がない
言葉を選びきれず
いちいち迷っている
首都高速高架下
思い違いで成り立つ世界
寄せ集めた想い出
懐かしさは要らないのに
答えは見つからなくて
ビル陰に逃げ込んだ
夜の街はジオラマみたい
少し涼しくて優しいけど
やさしいだけだ
まだ見えない
僕にはわからない
ありのままを受け取れない
それが僕のビョーキ
臆病なグースと
白ばくれる猫
雨上がりを見ていた
遠い幻の中で
「はみ出す、感情のせい
上手く笑えない」と言う君
掻き分けていく人混み
青空は動かない
超高層の思想に
顔のない大人が並ぶ
「脱け出そう、上手く行くよ」
夕凪に風を集め
駆け出した君に
手を引かれて行く
嘘に燻ぶ街に
浮かぶ蜃気楼
先はないよ?
「わかっているよ」
無邪気なまま、他人の心に
土足で勝手に上り込む
それが君のビョーキ
名前もないよ、薬もないよ
けれど一緒にいられるよ
それでいいと思った
陽炎の奥に
浮かぶクジラは
大事な人の想いを食らう
どうして 君の側では
あたたかくて
ひとりでいるより
寂しくて苦しくて
少し戸惑いもする
「夏の扉の向こうがあるなら
水面に月を浮かべて
虹を繋いでみたい」
風の奥に耳をすまして
胸の痛みを隠した
君と未来を削りたいな