集真愛 - 寺岛拓笃 (てらしま たくま)
ああその赤く覗かせた肉を
抉り
もうなにもかも亡くせば
赦しは得られますか
ああ脈を打つ温かい右手
離せずに
そう思い出を巣食うように
ただ死噛みつく
苦しくて苦しくてどうすれば
楽になるのねえ
息をして息をして息をして
呼吸止めた痛みから融けて
伝わる熱
色や形を変えて声は
不意に不規則に咲いて
深くもっと深く
塞いだ穴突き破ってく
「生きる理由探すより
一度くらい笑ってみて」
また聞こえる
ああその名前
産まれた意味さえ置き去り
ああ一人きり舟に乗る背中
見送った
ふと開いた唇が身勝手に
呟いたねえ
愛してる愛してる愛してる
意味は知らなくてもいいやっと
わかった
色や形を持たず
空を切り裂いて咲いた花が
早くもっと早く
うるさいほどに急かすけれど
笑顔見せる自分など
想像出来ないから
無理だよ
意地っ張りな性分は
直らないかもしれない
そんな自分をまだ嫌いでいて
色や形が変わっていても
すぐに見つけられるから
雨に濡れるたびに
破れた夢描き出せる
そして命は廻る為に
儚く散ってゆくけど
足りないもの継ぎ足して
歩き出せれば
いつか笑えるかな