春に眠る - たま
词:笥箪
曲:ZUN
斑雪煌めく朝も風光る昼も
知らずに夢の中春遅しと寝返り
伸びた癖毛を解かす漆塗りの櫛
金箔の椿は春永しとうつら
軒下で目立たず
芽吹く草花の仰ぐは
桜か空か灯りの漏れる
暖簾の向こうか
欠けた席はそのままに
引き戸を閉めずに
浅酌低唱は脇に春の夜の宴
余寒うらめし朝も花冷えの夕も
報せの文は来ず今や遅しと待つ
綴じた文書に挟む四方の国の花
何度の四季巡る女郎花の栞
やわらかな葉衣羽織る欅の並木を
通り過ぐ人は
愉しげな声のする方へ
陰ゆける日々のまにまに
終日のらりと
惜別の念懇ろり春の夜寝の夢
陽炎のもゆるさ中に
引き篭もる猫は
あたらし恋疎かに春に眠りつく
春に眠りつく