無何有の雪桜 - 石鹸屋
流れる時間だけが
永い記録の束
始まり終わるだけが
語り継がれる詩
色褪せた過去は遠く
一瞬だけを重ねて
土に還る亡骸は
刹那に咲いた桜
花は咲き舞い散る
それだけの為に咲く
終る様さえ華
咲いて落ちて果て往く
辿り着けば戻れぬ
果ては無残の形
落ちて朽ち果てる華の
果ては名残の土
巡る季節の終わりを
誰が理解ると言うのか
舞い散る桜の意味を
誰が謳えるのか
夢は現に消え
現は夢に果てて
何も謳わぬ最期を
風だけが攫っていく
白く白く舞い踊れ
終わる冬名残雪
咲いて咲いて狂い舞え
乱れ華雪桜
生まれ咲け散れ鮮やけ
刹那の一片
巡り廻り永き華
終る為だけに咲いた
桜は終わりを告ぐ
それだけの為に咲く
移る姿に託して
それだけの為に舞う
白く白く舞い踊れ
消えてゆけ融けてゆけ
咲いて咲いて狂い舞え
狐の己
一片の華