涙では消せない焔 - Sound Horizon (サウンドホライズン)
仮初めの光が照らしたこの生活は
口減らし蔓延れど尚も楽にならず
私達の葛藤が導いた
その正解はアンシャンレジーム
薙ぎ倒す洪水よ来れ
長き御代に腐る鎖
至尊を自らの手で
地に落とした
私達の歴史は繋いだこの
世界は揺らぎながらも
何処へ向かって往くのだろう
繰り返す夜にひかる光
子孫へ繋がる道を紫に堕とした
産まれる時代が違えば
産まれる身分が違えば
生き方の選択が
他に許されたでしょうか
自由と平等を掲げギロチンは
血を啜り続ける
時のうねりこの流れは
何時まで続くのでしょうか
生と死の狭間で焔は燃ゆる
「将軍の迅速な行軍の成果により
我が軍は見晴らしの良い丘を
抑える事ができた
我々は帝国軍
栄光の第二師団
ローランサン将軍に続け」
と見せかけ充分敵を
引きつけたら騎兵は散開
敵も急には止まれはしない
砲兵が待つ合図は三回
単純な戦術も
敵の虚を突けば蜂の巣さ
戦火の中戦果の手応えに
手が震えた
列強の連合が
飛び火を恐れて消しに来る
帝政を否定し尚
英雄を奉り上げ
吼えるキャノン空を抱いて
廻り続ける丘の上
皮肉を笑うように
焔は燃ゆる
あら今回はそういう選択をしたの
それも賢明かも知れないわね
戦場へ向かう愛しい影
気丈な振りして見送った
悲しい程朱い夕陽に零れ落ちた
私の心
見透かす様な声色で少女が囁いた
C'est mademoiselle violette qu'il est dans le bras droit
廻り来る生に
微笑んでくれる娘よ
C'est mademoiselle hortense qu'il est dans le bras gauche
廻り往く死を
悼み泣いてくれる娘よ
あら逆だったかしら
まぁいいわ
貴女の解釈に委ねるわね
寂しいなら
この娘達を貸してあげる
次に逢う私に必ず返してね
この娘達に話しかけると
不思議と懐かしい気持ちになる
何故なのかしら
子供の頃の夢がよみがえる
ああ親に捨てられた私は
それでも愛を夢見た
誰よりも優しいママンになろう
そう思ってた筈なのに
ああされど現実の私は
子を生す事を拒否した
誰よりも可愛いママンになろう
そう思ってた筈なのに
見よう見まねで
作り始めた人形が
様になってきた頃
待ちわびた夫は
車椅子で戦地から還って来た
離れていた時の事
そしてこれからの二人の事を
月が太陽に変わるまで
ゆっくりと話し合った
この国にこの時代に
生まれてくる事が
果たして幸せなのか
考える程判らなくなっていたの
なぁ
君が来た朝君が行く夜を
迷いながら傷つきながらも
生きてるいまを
そしてその先を
光を諦めず認めるなら
その子もまた生を愛すだろう
けれど
気付いた時には遅過ぎた
そう子を生せぬ身体に
成り果てたのさ
いいえそれでも
アナタは生きている
そうだそうよ
まだ終わりじゃない
ならば
歓びに揺れたこの日々を
哀しみに濡れたこの日々を
我らが紡いだこの歌を
生まれるキミに繋ごう
アナタを産むのが私じゃなくて
私達を愛してる
相応しいロマンを見つけたなら
何時か産まれておいで
焔は廻る