反芻の印象 - ふる/初音未来 (初音ミク)
詞:ふる
曲:ふる
灯台の光波打ち際は囲いの庭
特急列車は相も変わらず閑古鳥
星座の光線路の隙間に茂る雑草
寝台列車も星と日付と共倒れ
通過駅に佇む影法師
座席の向かいは鈍色シート
「お切らせ願います」
空に水飛沫
いたずら描きの道が交わる
看守が微笑む偶然を
寝そべり待ちぼうけ
すす払い指でなぞる曖昧な時刻表
裂けて避けた鈍行列車
点いて消えるきまぐれ信号
直せ叩け切り換えスイッチ
歪み並ぶ使い捨てのレール
本当は思ってなんかいやしない
その腕で抱き締めてもくれやしない
積もりに積もった
置き去りの祝詞も空へ帰し
がらんどうの客室の窓
紺の空に流れるひつじ雲
どうせすぐに見えなくなる
それは誰が望んだ成れの果て
有限の砂浜近付く満潮
消えた連絡船
深夜二十四時
閉じ込め締め出せ
シャッター街
ざわざわ燈る真鍮のランプから
山吹色の雫が影濡らす
「降車終了車庫に入ります」
さあ響け汽笛よ
遠く遠く大熊座まで
相席の山高帽
それでも幸せかと問い質せ
うわ言の名簿に竜胆色の星が降る
呑めや唄え春の影向
鳴らせ踊れ夏の神楽
大判小判秋の奉納
拾え零せ冬の豊穣
本当は噛み締めてなんかいやしない
明日の日付も今日も飲み込んじまえ
咀嚼の時間も
緊急停車にも気付きはしない
車掌はでたらめの口上
終の駅の足音蹴り飛ばし
車両の床を転がる胡桃
それは誰の望んだ成れの果て
燃ゆる石炭昇る黒煙
醒めた現世見えない
しなびた林檎
本当は思ってなんかいやしない
その腕で抱き締めてもくれやしない
積もるだけ積もった
その願いが背中を押す
がらんどうの客室の窓
紺の空に流れるひつじ雲
どうせすぐに見えなくなる
それは誰が望んだ成れの果て
主人のいない吊り革はゆらゆらと
誰がために列車は常世を走る
踏まれて散らばる
切符のお値打ちは行方知れず
紡がれない墨染めホーム
瑠璃の空に消え行くひつじ雲
僅かに照らす灯台の光
それはお前が望んだ成れの果て