名もなき女の詩 - Sound Horizon (サウンドホライズン)
詞:Revo
曲:Revo
通り過ぎた遥かな灯が
落とした影に花は移ろい
乾いた風が撫でた女の肌に
深い皺を刻む
嗚呼朱い空を征く白い旅鳥よ
お前は辿りつくべき場所を
知っているのかい
嗚呼連れて行っておくれ
置いていかないで
声に出来ない声
遠ざかる光に
手を伸ばした夜に
確かなものなど何ひとつ無く
逃げ込んだ儚い幻想
舞い散る花びらの中
笑う貴方と私と二人の
追憶に揺れる可憐なる
其の朽花に
咲き誇るバラは永遠に届かない
然れど然れど唯一輪
この世の常ならざる
薔薇がある
冬枯れの世界を常春が如くに
照らし賜う美は誰ぞ
其れぞ我らが女王陛下
わぁー
粉挽き屋の旦那に聞いたんスけど
うちの親方がモテなさ過ぎて
とち狂って遂に
女かどわかして来た
ってマジっスか
ってヤッベマジだッ
馬鹿野郎
おぉ気が付いたかい
アンタ
この水車小屋の近くの森で
倒れていたところをよ
ここに運び込んだのさ
でスよねぇ
やぶ医者の奴の話では
過労と栄養不足だろうってさ
このままじゃ危なかった
だろうってさだが
彼は笑って
何か取り出した
あんた本当にツイてたなさぁ
遠慮はいらねぇどんどん食えよ
パンなら売るほどあるんだ
って
まぁパン屋っスからねぇ
いい食べっぷりだなぁ姉さん
Tres bon
そんな経緯で
命を取り留めた私だったが
ある心境の変化に戸惑い
愕然とした後
不思議と前向きに
生まれ変わったような気持ちで
暫しパン屋さんのお仕事を
手伝うことにしたのであった
パン屋の朝は本気でヤバいぜッ
鶏より太陽より早起きで
生地を
捏ねる捏ねる捏ねる
寝る
ウチのパンは生地がウマいぜッ
麦の種類粉の挽き方
水に至るまで
拘る拘る拘る割る
風土の関係で我が国の小麦は
他国の様には
ふっくら膨らまないけど
外はパッリパリ中はモッチモチ
工夫次第じゃ
まだまだ美味くなる
ウチのパンで
皆の腹をパンパンに
してやるぜッ
焼き上げ時の指示はムズいぜッ
長くてもだめ短くてもだめ
石窯と睨めっこ
様子見様子見様子見
炭
口は悪いが腕は悪くない
顔も悪いがそれは
「放っとけよ」
場所は帝都パリ美味さは論の勿
Boulangerie de besson
看板が目印
ウチのパンで
お前の腹もパンパンに
してやるぜッ
逢う方なき影追う日々の
光を見失い
傷を負う程に老う事に
疲れたのかも知れなかった
倒れる以前の私ならきっと
這ってでも旅を
続けたのでしょうね
口ずさむ歌でも
あれは違ったの
薄情な女ねけれど
人並みの幸福を
願ってはいけませんか
ふゆを乗り越え
咲くのが花の命だもの
もし此れが借り物の物語
だとしても
はるのひかりを
浴びて散りたい