重なり手
より深き紅思い
たれぞ陽炎(かぎろい)
燃ゆる我が胸
立てば芍薬
座れば牡丹の花
歩けば百合のように
ただ輪郭をなぞれども
霞ゆく定めとして
夢うつつなる音に
我が身震わす雨の間に
空蝉の面影に
心映らぬ水面はゆれる
散りゆく花弁に
たそがれもせず
眼に映るは月灯りのみ
夜風になびゆく
閃光たぐりよせて
途切れぬ思いを重ねてゆく
一片だけでも叶うなら
輪郭をなぞるより
霞深き雲の間に
陽炎(かぎろい)の面影に
幾度と色は重なれど
夢うつつなる音に
我が身震わす雨の間に
空蝉の面影に
心映らぬ水面はゆれる